新競技規程についてのお知らせ


新競技規程についてのお知らせ

1.審判試験と競技規則改定

2005年12月16日JTU発05122号でご案内させていただきましたが、第9回全国
審判試験(第3種、第2種)を、来る2月26日(日)に開催いたします。

試験は、昨年からJTU Web Magazineにも掲載してまいりました「競技規程(最終
案)」に準拠して行います。本競技規程(最終案)は、皆さんから寄せられたご意見
を反映させた微調整を盛り込んだ上、現在製本のための最終校正段階で近く完成
予定ですので、審判試験あるいはその直前の講習会には、各加盟団体の希望部
数を送付できる見込みです。新競技規則(製本版)の装丁は、A6版、表紙は従来と
同様赤と黄色の表紙です。

事前の講習会開催等で、製本版の競技規程が間に合わない場合は、JTU Web
Magazineからダウンロードしてご利用下さい。なお、近く製本版の競技規程PDFファ
イルをWebにアップする予定です。

各都道府県における審判試験開催のJTU事務局への申請は2月16日までですの
で、製本された競技規則の送付希望部数も、これに併せてJTU事務局までお知ら
せ下さい。


2.競技規則改定の理由とポイント

以下にこの度の競技規則改定の理由と重要な改訂ポイントをご説明します。

A.競技規則改定の理由・必要性

競技を取り巻く制度などの変化<2006年1月10日JTU Web Magazine公開
第2回JTU拡大TC会議・議事メモを参照>

a) 99年版競技規則は、その後にオリンピックや国体で競技が開催される
ようになり、他の競技の規則とバランスを取る必要性が生じた。

b) ドーピングコントロールは競技団体ごとに行うことになっていたが、2000年
以降これをWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が一括して管理することにな
ったことへの対応。

 新仲裁法施行によって設立された日本スポーツ仲裁機構の「スポーツ
仲裁規則」への対応。

c) 各地で開催される大会での問題点の取り込み、とりわけ、キッズ大会の
独特な課題の指摘に対する反映


B.重要な改定点サマリー

@ 章立ての見直し、条・項・号の整理、表現の見直し。

A ドーピングについてはWADAの規程によること。

B バイク用ヘルメットはバイク競技用硬質ヘルメットを使用することとし、
望ましい規格を列挙することとした。

C ITU競技規則の改定に伴い、ドラフトゾーンを「バイク最後部から5m」
から「バイク最前部から7m」に変更。
又、追い越し行為にかかるドラフティング回避のための選手の責務に関して、
従来は追い越された側が7m空けるよう「下がる」責任があったものを変更し、
追い越した側が7mの間隔が空くまでは速度を緩めずに抜ききらなければなら
ないことを規定し、追い越し直後のドラフティング遵守責任を両者に負担させた。
更にブロッキングペナルティを明瞭にし、ドラフティングと同様、重要なバイク競
技上の禁止行為として位置づけた。

D 罰則(ペナルティ)について

 a) 注意と警告の違いがわかりづらいため、注意は罰則ではなく、審判員か
らのアドバイスとして、競技共通事項に移動。警告は指導と名称変更し、ペナ
ルティとして整理。

b) ドーピング違反に関し、ITU及びWADAの規程との整合性をとるため、資
格停止及び追放を追加

E 従来の上訴委員を審査委員と名称変更。99年度版競技規則では、抗議
は審判長に対して行うものであったが、審査委員に対して行うものとした。

F 抗議の規定の変更及びITU競技規則との整合性をとるため、上訴はJTU
理事会(または所轄加盟団体)に対して行うよう整理。

G 日本スポーツ仲裁機構による仲裁の規定を追加。これに伴い、CASへの上
訴は削除


C. 新「JTU競技規則」の具体的改定内容(条立ては最終印刷版に基づく)

・ 99年版競技規則の表紙にある『トライアスロンを謳歌するために』を、競技
規則制定の目的として1条に謳い、明確にした。

・ 第21条(競技部門の設定)でジュニア部門の区分を定め、99年度版での
(小・中学生部門)をジュニア(小学生低学年部門)・ジュニア(小学生高学年部
門)・ジュニア(中学生部門)とし、一般に使われていた“キッズ”の用語を競技
部門の区分ではやめた。

・ 年齢は国内の大会は“大会当日の満年齢”を基準とし、ITUは“大会が
開催される年の12月31日現在の年齢”が基準となる。

・ 第23条(コース等の把握)で、“・・・・自らの責務でコースを確認し、競技
を行うものとする。”となっており、99年度版の“・・・行わなければならない。”
となっていた。“ねばならない”とは“強制”であり罰則を担保にしているが、
大会主催者側の責任があって選手の責を問えないことを考慮し、条文の
表現を見直した。

・ 第24条(コース離脱と復帰)で、“・・・離脱した地点に戻って競技を再開す
るものとする。”とし、99年度版の“・・・再開しなければならない。”の“強制”
ではなく“原則”とした。これは、状況(コースミスなどで余分な距離を走った)
により判断することが可能であるとした。

・ 第25条(逆走・停滞の禁止)で、“・・・を除くほか、コースの逆走及びコー
ス上での停滞をしてはならない。”は、99年度版の“・・・は行わない。”より
明確に“禁止”を表現した。

・ 第26条(指示・注意)は、大会スタッフが競技者に与える注意(勧告)の
事項とし、第10章のペナルティと区別している。

・ 第27条(個人的援助の禁止)で、“大会主催者の提供する支援(エイド
ステーションなど)又は大会主催者から許可を受けた支援”以外を個人的
援助とし、“・・・特定の競技者と伴走又は追走することは個人的援助とみ
なす。”、また“・・・拡声器を使って特定の競技者に対し応援、指示又は
他の競技者との時間差を伝えることは個人的援助とみなす。”とし、想定
できることを具体的に定めた。

・ 第29条(優先進路)で、“他の競技者の優先進路を妨害する行為”を
「ブロッキング」とし、禁止した。これにより「ブロッキング」は「ドラフティン
グ」などと同じ抗議出来ない判定対象違反となった。

・ 第65条(競技用具の置き方)で、“トランジションエリア内で場所がナ
ンバーシールなどにより指定されているときは、ナンバーシールの貼付
してある側に競技用具を置き、更衣などのトランジションを行う“とし、
“棒状のバイクラックを使用するときは、ナンバーシールの貼付している
側にハンドルバーがあるように向けて、バイクラックにサドルを掛けるこ
とを基本とする。”と明確にした。

・ 第8章バイク(自転車)の競技規則は、第1節バイク競技事項、第2節
ドラフティング禁止レース、第3節ドラフティングレースの章立てに見直した。

・ 第85条(ヘルメット)で、“バイク競技では、常にバイク競技用の硬質
ヘルメットを、その取扱説明書に従い正しく着用していなければならない。”
とした。

・ 第86条(小中学生のヘルメット特別規定)で、“小中学生においても
第85条で規定されるヘルメットを使用するものとする。”とし、ロードレー
サーを使用するときは原則、競技用硬質ヘルメットの着用とした。

・ 第88条(ドラフティングの定義)に99年度版の“風圧を減らしアドバン
テージを得る”文言はなく、“他の競技者又は車両のドラフトゾーンの中に
入って走行する行為”とした。

 競技者のドラフトゾーンは、バイクの前輪の最前部を基点として後方
7m、横幅3m(前輪を中心として左右それぞれ1.5m)の範囲とする。

 車両のドラフトゾーンの後方35m、幅5m(左右それぞれ2.5m)は、
寸法は同じだが、99年度版の“車両後部を起点”から“車両の最前部の
中心を基点”になった。

・ 第93条(ブロッキング)で、ドラフティング禁止レースにおいては、
第29条の他の競技者の優先進路を妨害する行為のほかに次の二つの
行為をブロッキ]ングとみなし禁止している。

(1) 先行する競技者を追い越したとき、追い越した競技者のバイクの
前輪の最前部から追い越された競技者のバイクの前輪の最前部まで
の間隔を7m以上開けないで追い越した競技者がキープレフト走行に
入ること。

(2) 他の競技者の右側を、他の競技者と同一の速度を保ったまま
走行を続けること。この場合において、他の競技者のドラフトゾーンに
進入しているかどうかは問わない。

・ 第107条(罰則の種類)で、罰則の種類は、指導、タイムペナルティ、
失格(略称:DQ)、資格停止及び追放とし、順に軽い罰から重い罰となる。
資格停止や追放はWADAの規程との整合性をとり追加になった。タイム
ペナルティ(略称:TP)にはストップ・アンド・ゴー(略称:SG)を含む。

・ 第108条(指導)で、指導は、違反によって競技場の大きなアドバン
テージ又は順位の変動が得られない行為及び言動であって、タイムペ
ナルティ以上の重い罰則を適用することが適当でない違反に対して科
せられるとした。指導の手順は、第109条に規程されている。

・ 第110条(タイムペナルティ及びストップ・アンド・ゴー)で、タイムペ
ナルティとストップ・アンド・ゴーを規程しており、99年度版で第6章バイク
競技規則と第8章ペナルティで重複していたのを見直した。

・ 第117条(オフィシャル)で、大会に次の競技役員と審議委員会を
オフィシャルとして置くことを規程している。

(1)技術代表(テクニカル・デリゲート(略称:TD))

(2)審判長(レース・レフリー(略称:RR))

(3)チーフ・テクニカル・オフィシャル(略称:CTO)

(4)審判員(レース・オフィシャル(又はマーシャル))
新競技技規則ではレース・オフィシャルが主たる呼称となる

(5)審議委員会(コンペティション・ジューリー) 大会の現場にいるメン
バーで構成され、上訴する前の段階で抗議に対する裁定を行う

・ 第123条(上訴)で、競技者又は審判長は、審議委員会の裁定に不服
があるときは上訴することができるとした。

・ 附則で、この規則の施行を2006年4月1日とし、明確にした。 以上