International Triathlon Union

パラトライアスロン・ハイパフォーマンスチーム(2024パリ戦略プラン)

目標

・金メダル1を含む複数メダルの獲得
・メダル獲得者を含む入賞4

設定理由

東京2020大会の目標は、「金メダル1を含む複数メダルの獲得」「メダル獲得者含む入賞6」「実施全8クラスでの参加資格獲得」であった。どれも少しずつ届かなかったが、銀メダル1、銅メダル1獲得など、概ね及第点には達したと考えている。パリ2024大会に向けては、パラリンピックを目指す活動から退いた選手もいるが、現在の強化指定選手が中心となる。量的には縮小、質的には維持・向上させた目標を掲げ、各活動内容の質を求めることで、東京2020大会以上の成績を目指すこととした。

マイルストーン

2022年:世界選手権:メダル1獲得 複数入賞
2023年:界選手権:メダル1獲得 入賞3、パリプレ大会:メダル1獲得 入賞3
2024年:世界シリーズ戦横浜大会:メダル1獲得 出場全クラス入賞

設定根拠

強化の方向性は、これまでの活動と大きく変えずに継続しながらパリ2024大会を目指す。現在の強化指定選手が中心となる。パラリンピック周期と年齢を考慮すると、東京2020大会からやや下げた目標設定から活動を開始する必要がある。徐々にパフォーマンス、コンディションを向上させ、3年目のパリ2024大会を競技キャリアのピークと設定した際の毎年のマイルストーンとなる。

目標達成のための戦略方針

[1]成功要因
①科学的根拠に基づいた強化
②各種目の専門的な指導・トレーニングによる弱点の克服
③他競技団体・オリンピックチームとの連携による活動

[2]設定理由
次世代ターゲットスポーツ育成強化事業において実施・実現し強化に大きく貢献したと考えられる活動のうち、各選手にすぐにでも応用可能と考えられる要因を掲げた。年間複数回のフィットネスチェックやよりトレーニングの進捗やトレーニング強度となる指標を確認すること、各種目の専門的指導を受ける機会を設けること、他競技団体やオリンピックチームの選手との合同トレーニングにより高品質な活動が実践できることを通し、効率的な強化活動につなげる。

[3]方策
①定期的なフィットネスチェックの実施(成功要因①)
東京2020大会のメダル獲得選手は、2017年より定期的にJISS等の協力のもとフィットネスチェックを実施し、客観的な指標でフィットネスレベルを評価しピリオダイゼーションの参考としてきた。今後はすべての選手が年数回実施できるように計画し、トレーニングの進捗や方向性を確認しながらその後のトレーニングに生かしていく。また、NF単独でも合宿先などでフィットネスチェックを実施し、トレーニング時の強度設定の指標を確認してきたが、これらもより多くの選手が可能となるような環境を整える。さらに、フィットネスレベルのみならず、コンディションを客観的に評価できる体制を整え、効果的なトレーニングを実現させる。

②スイム、バイク、ランの各種目におけるフォーム、トレーニングの見直し(成功要因①②③)
バイクやランでは、それを専門とする指導者や練習パートナーと連携し、合宿に招聘したり合同トレーニングをしたりする機会を得られてきている。さらにその機会を増やし、より各種目に特化した強化を進める。スイムにおいては連携が進められていないが、OWSの指導者の招へいや選手との合同トレーニングの機会を設ける。また、選手の必要に応じ、スイムの動作分析からストロークの最適化を図り、パフォーマンス向上へつなげる。

③高品質なトレーニングの実現(成功要因①②③)
チームに所属せず、特定の指導者も置かず、単独で日常のトレーニングを行う選手も少なくない。また、クラス数も多く競技人口が少ないため、国内のみでは競争原理が働かない。一方、クラスによっては競技レベルが非常に高くなってきており、海外選手の中にはオリンピックを目指す選手と同等以上の競技力を有する者もいる。
世界基準の視点から強化を進めるには、海外の強豪選手とともにトレーニングする機会を持つことも一つだが、国内でできる対策もある。より競技レベルが高いと考えられる他の単一競技の選手やオリンピックを目指す選手とのトレーニングを行うことである。これまでも、特に男子選手の合宿においては実現できているが、他の選手の活動にも招聘できるようにする。パラリンピック、オリンピックを目指す選手間のパフォーマンスの差は埋められないところもあるが、お互い高い意識を持っていることに違いはない。オリからパラへの一方向の影響であるとはとらえておらず、双方向で貢献できるものと考えている。