International Triathlon Union

堀 陽子選手のアイアンマンレポート!

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「堀 陽子選手のアイアンマンレポート」

「堀 陽子選手のアイアンマンレポート!」

ハワイアイアンマンが終わりました。今年は暑く、3年振りにコナ・ウィンドが強く吹く、
とても厳しいコンディションとなりました。出場参加数は、過去最大の1795名に及び、完
走者は1579。今年より、プロとエイジのスタート時間が別れました。今までプロとエイジ
のドラフティングルールの違いがプロ10m、エイジ7mとの違いがありましたが、同一レ
ースにてこのようなルールの違いがあると、どうしてもレース中に問題が生じることが、
選手の間からクレームされてきました(プロの選手が10mのスペースを空けてもエイジ
の選手が次々と入ってきてしまう)。そこで、昨年よりルールを見直す動きがみられま
したが、昨年の方法だとアイアンマンの競技性が別物である(ドラフティング効果がみ
られるのではないかという)と判断され、今回のスタート時間変更に至った訳です。
実際に、今年レースを行ってみて感じましたが、やはり今までとは違い、力の差がはっき
りと現れるレース展開になったのではないかと思います。これで、今までのような問題
はだいぶ改善され、アイアンマンにふさわしいレースに近づいたと感じました。

今年もハワイまでは冬のニュージーランドでトレーニングを積んできましたが、風邪を
ひくこともなく、順調に仕上げることが出来ました。しかし、直前のNZ−日本−ハワイ間
の移動で風邪を引いてしまい、ハワイに現地入りしても3日間寝込んで最終調整ができませ
んでした。しかし、それまで順調に練習を進めてこられたので、焦ることなく、逆にゆっ
くり休んで今までの疲れを取り切ろうと気持ちを切り替えるように意識をもっていきまし
た。そして、レース日にはほぼ体調も戻り、しっかりとレースに集中できる状態にもって
いくことができました。

レースでは、今年の予測されるレース展開を考え、まずスイムで良い集団に入り、出遅れ
ないこと。そして、バイクで力の差がはっきりと現れてくると思われるので、自分の走り
にしっかり集中することが今回の鍵でした。しかし、この日の海のコンディションに惑
わされ、山倉選手を含む、私たち5〜6人の集団は、折り返してからゴールに向かう途中で
コースを大きく外れてしまいました。ここで、懸念していた状況に陥り、タイムロス。
出だしで遅れをとってしまいましたが、バイクでは気を取り直して自分の走りに集中さ
せました。バイクでは、いつもと違う光景で、例年になく10mルールは明らかに守られる
状況にありました。途中から次々とエイジの速い集団が追い越していきましたが、その
辺りで追いついてくる選手はかなり速いため、10mのスペースを空けることは難しくはあ
りませんでした。そして、プロのドラフティングの取り締まりも例年以上に厳しかった
ようで、たくさんのトッププロがペナルティを取られていました。それにしても、コナ
・ウィンドが3年振りに吹き荒れ、選手達を悩ませたようですが、冬のNZで強風の中トレ
ーニングしていたので、風に対しての抵抗は他の選手よりは感じませんでした。それよ
りも、やはりレース前に10日ほど十分に身体を動かせなかったせいか、いま一つキレの
ある走りができませんでした。そして、バイクを降りた時点で、脚が鉛のように重たく、
トランジッションで走ることもままならない状態でした。一度止まって、落ち着いてド
リンクを飲み走り始めましたが、全然脚が動かず、苦しい走りでした。焦らないようにし
て、リズムをとり走っているうちに、10km過ぎから少しずついつもの走りが出来るように
なってきました。折り返してくる前を走る選手の表情を確認しながら、16km過ぎのクイ
ーンKの直線からが勝負だと思い、ペースを上げていきました。エナジーラボで、ペース
ダウンしている選手や追いつけそうな選手を確認。日本人選手の若手の新人、今泉選手
も前を走っていましたが、追いつけそうな距離でした。それでも、それからなかなか前
に姿が見えず、やっと残り2km地点でカレン・スマイヤーズをパスし、そして今泉選手に
追いつきました。最後は今泉選手と並走になり、ゴール付近まで持ち込みましたが、最
後はスパートして振り切りました。もう一人少し前のベルギーの選手には届きませんで
したが、昨年より2つ順位を上げ、19位でゴール。しかし、目標のトップ10まで22分届き
ませんでした。今年も、来年に向けてまた新しい課題も出来ました。そして、初めての
ハワイであれだけ走れた今泉選手の今後の活躍は、これからが楽しみではないかと思い
ます。日本からも、新しく強い選手が出てきて、私も更に刺激になります。

今シーズン、4つのアイアンマンレースと1つのハーフアイアンマンを走り、いつもよ
り大目のレース数で不安はありましたが、無難にこなせることができました。これで
今シーズンを終了し、身体をゆっくり休めて来シーズンに備えます。来シーズンのス
ケジュールは、これからゆっくり考えて、更に良い成績が出せるものにしていきたい
と思います。

今シーズンにおきましても、たくさんのご支援をいただき、有難うございました。
来シーズンもまた、引き続き世界の上位を目指しますので、
応援よろしくお願い致します。

2004年10月23日
プロトライアスリート  堀 陽子

レース結果
<プロ男子>              SWIM     BIKE     RUN    Total
1.ノーマン・スタドラー(ドイツ)    54:27    4:37:58   2:57:53  8:33:29
2.ピーター・リード(カナダ)      53:12    5:01:38   2:46:10  8:43:40
3.ファリス・アル−サルタン(ドイツ)50:39    4:55:44   2:54:51  8:45:14
4.アレックス・トゥバート(ドイツ)   53:24    4:49:45   3:00:37  8:48:35
5.Rutger Beke(ベルギー)     54:35    4:59:57   2:55:55  8:54:26
6.Torbjorn Sindballe(デンマーク) 53:07    4:48:51   3:12:32  8:58:45
7.キャメロン・ウィドフ(アメリカ)   51:31    4:59:36   3:04:07  8:59:25
8.ティモ・ブラー(ドイツ)        54:54    4:58:42   3:05:59  9:03:11
9.Rene Rovera(フランス)      56:28    5:04:30   2:59:41  9:04:32
10.Raynard Tissink(ZAF)      53:18    5:02:45   3:00:46  9:04:51
28.谷 新吾               59:21    5:25:59   3:00:43  9:30:41
36.小原 工               51:27    5:30:01   3:03:16  9:32:59

<プロ女子>
1.ニナ・クラフト(ドイツ)        53:17    5:24:53   3:06:53  9:33:25
2.ナターシャ・バドマン(スイス)   1:01:36   5:31:37   3:11:45  9:50:04
3.ヘザー・ファー(カナダ)       1:01:18   5:44:12   3:06:04  9:56:19
4.ケイト・メジャー(オーストラリア)  1:01:05   5:38:51   3:17:39  10:01:56
5.リサ・ベントリー(カナダ)      1:01:05   5:50:11   3:06:17  10:04:16
6.ジョアンナ・ロウン(ニュージーランド)  56:37    5:46:09   3:17:44  10:05:10
7.ベリンダ・グレンジャー(オーストラリア)59:08    5:38:26   3:21:07  10:07:06
8.Lisbeth Kristensen(スイス)    56:33    5:41:25   3:26:29  10:08:55
9.フェルナンダ・ケラー(ブラジル)  1:01:15   5:47:40   3:18:05  10:10:49
10.ティナ・ウォルター(ドイツ)     1:05:09   5:40:59   3:20:38  10:11:02
19.堀 陽子                1:06:56   5:57:50   3:24:18  10:33:47
20.今泉 奈緒美            1:01:17   5:55:54   3:31:50  10:33:54

                
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