ITU、猛暑下のレースのための包括ガイド“Beat the Heat”を公開
ITU（国際トライアスロン連合）は、キャンベラ大学とラフバラ大学と協力し「Beat the Heat（暑熱に打ち勝つ）」と題した暑熱対策ガイドをまとめました。これはトライアスリート・パラトライアスリートが、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で直面するであろう蒸し暑いコンディション下での競技を準備する上で助けとなるような内容を徹底的に網羅したものです。
トライアスロンの大会は夏場に行われることが多いため、選手は高温多湿の環境にさらされることが往々にしてあります。極めて過酷な条件の下では、選手の競技力と健康状態に負の影響が出る可能性があります。このガイドは、そのようなコンディション下で実施されるレース、特に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に備える選手とチーム、コーチ陣の助けになるよう、パフォーマンスを最大限発揮し、暑さによる疾病の発症を極力抑えるための助言をしています。
「ITUは常にアスリートの健康と安全を第一に考えており、我々が提供する様々な安全対策により、すべてのアスリート・トライアスリートがベストコンディションで力を発揮できるようにITUの競技部とメディカル委員会からなる合同チームがコミットしていることをこの包括的な文書は示しています」とマリソル・カサドITU会長・IOC委員は説明しました。
「ITUの競技部とメディカルチームは、すべてのアスリートの安全確保に全力であたっています。2019年夏に東京で行われたテストイベントでの高温多湿の条件による影響を分析し、アスリート、技術、メディカル、コーチの各委員会の代表及びこの分野の専門家からなるワーキンググループを設立した結果、我々は全てのアスリートが東京2020、さらにその先に備える際の手助けになるようなガイドラインを入念に作成することにしました」とITUの統括部長でこの文書の執筆者の一人であるタノス・ニコポウロスは語りました。
「『ビート・ザ・ヒート』は、トライアスリート・パラトライアスリートにとって究極の出版物です。あらゆる科学的・医学的情報を収集してアスリートやコーチにとってわかりやすいものにまとめることで、彼らのパフォーマンスを上げ、トレーニング、環境に順応することを容易にしました」とセルジオ・ミグリオリニITUメディカル委員長は説明しました。
「トライアスリートは、3つの種目を連続して競技するというユニークな挑戦を行います。選手たちは、時には過酷な環境条件の下で高い強度でこの挑戦に立ち向かわなくてはならないこともあります。世界のトップトライアスリート・パラトライアスリートが東京2020大会に向けて準備をするにあたり、健康と競技力の見地から人の体に暑熱ストレスがどのような影響を与えるかを理解することが重要です。この文書では、暑熱状況が選手にいかに強く影響を及ぼすかについて概説するだけでなく、水分補給計画や暑さへの順応策など、そうした影響を軽減するための戦略を説明しています」と『ビート・ザ・ヒート』ガイドの著者でキャンベラ大学スポーツ運動研究所のジュリエン・ペリアールは語りました。
トレーニングや暑熱対策の多くの原則がオリンピックからパラリンピックのアスリートにそのまま置き換えられるものの、選手の障がいが与える生理学的な影響に対する配慮も重要です。この『ビート・ザ・ヒート』ガイドは、ラフバラ大学（ピーター・ハリソン障がい者スポーツセンター）のベン・スティーブンソンとヴィッキー・グーシー＝トルフリーの専門的・実践的見地により、今夏の東京大会に向けて準備をするパラトライアスリートが直面する複雑かつ重大な検討事項を調和させています。
暑熱に順応することのメリットは何か？コア体温がどのように調節されるか？レース前とレース中、レース後にとるべき冷却戦略とは？最良の水分補給対策とは？選手が摂取すべき適切な水分量は？暑熱ストレスを軽減するために採用すべきITU競技規則は？といった事柄がこの包括的な文書ではすべてカバーされており、全選手、コーチ、国内競技団体が入手可能な情報です。
世界陸連などの国際競技団体が東京オリンピックにおける自競技選手の競技力向上のためにガイドラインをまとめていますが、『ビート・ザ・ヒート』はパラトライアスリートについても取り上げており、彼らの障がいに関連した生理学的影響を考慮した上で暑熱・湿度が彼らのパフォーマンスに与えるインパクトについて考察した最初の文書であると言えます。
『ビート・ザ・ヒート』本文：
https://www.triathlon.org/uploads/docs/HTB_v9.pdf
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