International Triathlon Union

夏場のトライアスロンならびに関連イベント実施に際してのお願い(2024)

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昨今の猛暑に対して、環境省や気象庁等から夏の暑さ対策に係る諸注意が発表されています。
JTUは、選手・スタッフ・ボランティア及び地域住民が、安心安全に競技を行い支援できる環境の構築を第一に考え、JTUメディカル委員会が中心となりこれまで各種注意喚起を行ってまいりました。
この注意喚起の内容は、いずれも大会主催者と選手の双方がリスク要因を十分に認識して、競技に臨むことを繰り返し述べております。
この中で、暑熱環境における競技実施の指針はワールドトライアスロンならびにJTUから提示しています。
関係者におかれましては、それぞれの大会の持つリソースや選手・スタッフ・ボランティアの状況を鑑みて、競技実施に際して確認すべき情報を参加選手と共有し、選手が安全にトライアスロンを実施できる環境を構築いただきますようご理解とご協力をお願いします。
以下、大会の持つリソースならびに選手・スタッフ・ボランティアの状況、大会実施に際して確認すべき情報、判断内容の順に記します。

大会の持つリソースならびに選手・スタッフ・ボランティアの状況

以下の6つの条件は、暑熱環境にどの程度耐えられるかを考える際に考慮すべきです。
1.大会が準備した競技前・中・後の暑熱対策…暑さを避ける、あるいは身体の冷却に必要な資機材や環境をどれだけ準備できるか。
2.大会救護所における熱中症対応準備…アイスバスやアイスタオルなど冷却手段の準備状況。
3.参加選手の競技レベル…一般に初心者は暑熱への耐性が低い。
4.スタッフ、ボランティアの人数…少ないほど休憩が取りにくく、長時間の業務は厳しい。
5.年齢層(参加選手、スタッフ、ボランティア)…一般に子どもや高齢者は暑熱への耐性が低い。
6.大会の競技距離…スタンダード距離(51.5km)以上の場合は、身体への熱負荷が高くなることが予想される。

大会実施に際して確認すべき情報

環境省

  • 熱中症予防情報サイト
  • https://www.wbgt.env.go.jp/
    この中の「暑さ指数の実況と予測」は、熱中症対策を行う上で非常に参考になります。
    https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
    ここで大会を開催する地点を選択すると、2日後までの予想暑さ指数が分かります。この予測値と、後に示すWorld Triathlonの「WBGT Risk Categories」、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」、さらにスポーツ庁やJTUが示す各資料を元にして、選手だけでなくスタッフやボランティアも含めて安全に競技を行い支援できる環境を構築できるよう、大会を実施する前日から実施方法について、具体的には距離の短縮などを検討してください。

    World Triathlon / ワールドトライアスロン

  • 猛暑下のレースのための包括ガイド“Beat the Heat”(2020年2月9日)
  • https://www.jtu.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/92e84781d149e6d0410e43efcad1d1e9.pdf
    暑熱環境における競技実施指針「WBGT Risk Categories」は、上記p28 Table1参照。ただしflag colorは、2022年10月20日からModerate普通が黄色→青色に変更。

    日本スポーツ協会(JSPO)

  • 「熱中症予防運動指針」
  • https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html

  • 上記指針は次の中に記載「熱中症を防ごう」
  • https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html

    スポーツ庁

  • 「熱中症事故の防止について(依頼)」(2024年5月20日)
  • https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/hakusho/nc/jsa_00041.html

    公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU)

  • 夏場のトライアスロン実施でのお願い(2023年)
  • https://www.jtu.or.jp/news/2023/07/19/52790/

  • 夏場のトライアスロン実施でのお願い(2022年)
  • https://www.jtu.or.jp/news/2022/07/02/43208/

  • 様々な気象下、状況下での競技実施の意思決定についての考え方(2020年6月1日)
  • https://www.jtu.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/d800efd26e19a416823a42a24267dc6e.pdf
    暑熱環境における競技実施の指針は、上記5ページ目、⑨気温※参考1:ITUイベントオーガナイザーマニュアル参照(これは前述したBeat THE HEATのp28 Table1と基本的に同じです)

  • 夏季の大会開催での暑さ対策(報告とお願い)(2018年7月21日)
  • https://www.jtu.or.jp/news/2018/07/21/13477/

    以上の情報から、WBGT(暑さ指数)が28℃(WBGT Risk Categoriesでオレンジ、熱中症予防運動指針で厳重警戒)以上となることが予想される場合は、安全配慮義務を尽くすという観点から、大会実施方法について検討してください。

    判断内容

    大会主催者におかれましては、これまで述べてきた情報を元にして、大会開催前日から各種目の競技距離短縮、ならびに表彰式など式典の時間短縮や簡素化の必要性について以下1)~4)のように検討されることを推奨します。
    1)ランの距離短縮を検討してください(EOM p396-397参照)。理由は、3種目の中で距離短縮の効果が最も得られやすいからです。
    2)バイクの距離短縮の必要性は、先に述べた大会の持つリソースならびに選手・スタッフ・ボランティア状況の6つの条件によります。バイクは走行により熱放散がある程度期待でき、身体に水をかければさらにその効果が高まります。一方で乗車技術が未熟な初心者や、あるいはコースがテクニカルな場合は、走行中にボトルを片手で持って水分摂取を行うことが難しく脱水になりがちで、熱中症のリスクが高まります。バイク走行中は身体冷却と水分補給の両方を怠らないよう、選手に注意喚起を行ってください。バイクパートの時間帯が暑さ指数で厳重警戒以上になることが予想される場合には、バイクの距離も短縮することを検討してください。
    3)スイムの距離短縮の必要性は、水温によります。ウェットスーツの使用可否を含めて、スイム関連ルール・安全管理ガイドブック(※)を参照してください。水温が高ければ、距離短縮を検討した方が良いです。水温が高くなくウェットスーツを着ていなければ、皮膚から水への熱伝導で効果的な冷却が可能なので、競技距離の短縮は不要です。ただし陸に上がれる周回コースにして、水分補給を可能にする工夫が必要です。
    ※スイム関連ルール・安全管理ガイドブック:
    https://www.jtu.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/03/Swim-environmental-measures_guidebook_v07.pdf
    4)表彰式など式典の時間短縮や簡素化も検討してください。この理由は、レース後に表彰式などで長時間暑熱環境下にいることで熱中症になる選手がいることと、早朝から業務に従事しているスタッフやボランティアへの暑熱負荷に配慮する必要があるからです。

    これらの検討は大会前日から行い、最終判断は大会当日のスタート3時間前に実施判定会議を行い、結果を全ての大会関係者に周知することをお勧めします。大会開催内容の変更によって選手やスタッフ、ボランティアが混乱しないよう、予想暑さ指数によって大会開催内容を変更する可能性があることを事前に全ての大会関係者に告知してください。
    以上の様にして、選手・スタッフ・ボランティア及び地域住民が安心安全に競技を行い支援できる環境を構築していただきますようお願いいたします。

    参考情報

    JTU公認トライアスロン保険

  • JTU公認トライアスロン保険・補償制度
  • https://www.jtu.or.jp/join/insurance/

  • トライアスロン安全保険(全登録会員自動付帯)(2024年度)
  • https://www.jtu.or.jp/news/2023/10/02/55066/

    <2024/7/18 「判断内容」追記>

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